お前はそうやって────どんどん俺を、お前の虜にしていくのか。
由衣と出会ってから約半年。
少し足掻いたくらいでは抜け出せないほど───俺は、由衣の沼へと深く沈んでいった。
出会いは、最悪だった。
わざわざ近くに置いたのは、他の族に目をつけられたから。
……あとは、ただの"暇つぶし"のため。
俺と桃華を庇ったあの無茶で勇敢な姿を見て、上手く利用できるとも考えていた。
アイツを"仲間"にしてからも、心の内は完全には見せないようにして。
もう慣れきってしまった"偽りの自分"で、彼(彼女)のことを欺き続けた。
──誰かに向ける表情は、全部偽りのもの。
長年一緒にいた大晴たちでさえ、本当の俺を知らない。
……由衣だってその例外ではなく、"仮面を被った偽物の俺"を知るひとりのままで終わるはず───だった。
けれど────。
由衣と過ごすうちに、モノクロだった世界がわずかに色付いて見えた。
今まで仮面をかぶって笑っていた笑顔も、少しずつ"本物"に変わっていった。
────アイツの前でだけだった。
本当の俺で、いられるようになったのは。
最初は、ただの利用価値しか見ていなかったはずなのに。
不器用で、まっすぐで……でも、自分は人に踏み込ませないその姿に、いつの間にか目が離せなくなっていって────
────気がついたら、他の女なんて眼中になくなるくらい、彼女の虜になっていた。
(はは、ほんと……バカみたいに可愛い奴。)
お前のその無防備な姿を見るたびに、俺の胸は、お前への愛しさだけで壊れそうになる。
こんなにも誰かを愛おしいと思うなんて……由衣、お前に出会うまで知らなかったんだ───……



