ぎゅっと拳を握り締め、震えそうになる声を喉の奥で引き留める。
「……わかりました。でも、話すのは私たとが”話せると思った”ことだけです。」
私の返答に、蓮さんはわずかに眉をひそめ、探るように声を低くする。
「話せると思ったこと?」
私は小さく息を吸い込み、拒絶を示すようにきっぱりと首を横に振った。
「はい。……それ以上は、教えられません。」
ここまで事態が動いてしまった以上、すべてを隠し通すのはもう限界だ。
これ以上突っぱねれば、蓮さんたちは真実を突き止めようと、もっと無茶な行動に走ってしまうかもしれない。
─────それだけは絶対に避けたかった。
けれど、私たちの本当の正体──すべての"核"になる部分だけは、絶対に明かすわけにはいかない。
もしすべてを打ち明けてしまえば……今度こそ彼らを、こちらの暗闇に引きずり込むことになる。
(……それだけは、絶対にダメ。何をしてでも守らなきゃいけない)
だから─────。
表面上の真実だけを、さもそれが全てであるかのように差し出そう。
一番大切な核心だけを、巧妙に隠して。
────それが、最低限の妥協の末に私が選んだ、精一杯の”ウソ”だった。



