君は、狂愛の檻の中 ~偽りの君に恋をした~

♠︎ Yui



──バタン、と昨日と同じように大きな音を立てて、屋上の重い鉄扉を開ける。



「………あれ、もういたんですか?」



わざと驚いたふりをして声をかけると、フェンスに背を預けていた人影が、私を視界に入れた瞬間ゆっくりと上体を起こしてこちらへと身体を向けた。




「ああ。………お前に会いたくて、な」


「えっ、僕にですか……!?」



嬉しさと戸惑いが混ざったような声を出して。


人懐っこく、それでいてどこか庇護欲をそそるあざとさが見えるように、ひとつひとつの動作をミリ単位で計算して行動に起こしていく。



「ああ。お前、なんかおもしれーから」

「えぇ……?」


小首を傾げる角度は、ぴったり15度。

顎を少し引き、上目遣いになるのも忘れずに、困ったような笑顔を彼に向ける。








彼はそんな私をじっと見つめていたが、ふいに関心がなさそうなフリをして視線を逸らすと、頭をガシガシと乱暴にかいた。



「……お前、昼メシいつもどこで食ってんだよ」




────予想外の角度からの質問。


私は怯えるフリの演技を維持したまま、手元のメロンパンをそっと掲げてみせる。




「えっ……? あ、大体は、教室の自分の席でひとりで……。購買のパンとかを買って、静かに食べてます……」


「……じゃあ、明日からもここに来い」


ぶっきらぼうに遮るように落とされた、低い声。