君は、狂愛の檻の中 ~偽りの君に恋をした~

♠︎ Ren



「…………ねぇ、蓮くん。話聞いてる?」


鼓膜を揺らす甘ったるい声に、俺は思考の海から引き戻された。




「………ん? ああ……」

「ウソ。絶対に聞いてなかったでしょ」


拗ねたような声とともに、フッと目の前に影が落ちた。



「そんなことねぇよ」


ソファの背もたれに首を預けたまま、チラッと視線を上に向ける。


地毛にしては珍しい、色素の薄い明るい栗色の髪が視界に飛び込んできた。




「…………なにか、考え事でもしてたの?」

「まあ、な……」


俺が曖昧にそう言葉を濁すと、不安そうに揺れる薄い桃色の瞳が、じっと俺の顔を覗き込んできた。




「なにを考えていたの?」

「………ちょっと、おもしろい奴を見つけてな」



ふと口をついて出た言葉に、彼女の表情がわずかに強張る。





「…………それって、女の子?」

「男に決まってんだろ。この俺が、女のことを気にかけるわけねぇだろ……」



低く吐き捨てた言葉には、自分でも制御しきれないほどの棘が混じっていた。



──女なんて。

視界に入れるだけで、虫唾が走る。
まともに見ているだけで、吐き気がしてくる。