君は、狂愛の檻の中 ~偽りの君に恋をした~

♠ Yui




「………あれ、もういたんですか?」

「ああ。………お前に会いたくて、な」



私を視界に入れたタカセさんが。
ゆっくりと上体を起こして、私の方へ体を向けた。


「えっ、僕にですか……!?」


人懐っこく、それでいてどこかあざとく見えるように。
ひとつひとつ、計算して行動する。



「ああ。お前、おもしれーから」

「えぇ…………?」


首の角度は、ピッタリ15度。

顎を少し引くのも忘れずに。



「お前、明日からもここに来い」

「え?」

「…………俺の、話し相手になれよ」



………第二関門突破。




「えっ、いいんですか!?………僕なんかでよければ………僕も、転校してきたばかりで、あまり友達が出来なくて………」


「………だろうな。」

「え、何か言いました?」

「………いや、なんでもねぇ。…………じゃあ、改めてよろしくな、椎名」

「………あ、名前でいいですよ」


「下の名前………"由良"、だっけ?」



ドクン



「………はいっ、僕も蓮さんのこと、名前で呼んでもいいですか………?」

「好きにしろ」



………少しずつ、

疑われない程度に、距離を詰めていこう。

護衛対象の姫に近づくには、総長に付け入るのが一番の近道だ。


「じゃあ蓮さん、ですねっ!!」


「……っ、おうっ」