君は、狂愛の檻の中


〈由衣side〉


「………あれ、もういたんですか?」


「ああ。………お前に会いたくて、な」


私を視界に入れた"タカセさん"が、ゆっくりと上体を起こして私の方へ体を向けた。


「えっ、僕にですか……!?」


人懐っこく、それでいてどこかあざとく見えるように、ひとつひとつ計算して行動する。


「ああ。お前、おもしれーから」


「えぇ………?」


首の角度はピッタリ15度。


顎を少し引くのも忘れずに。


「お前、明日からもここにいろ」


「え?」


「…………俺の、話し相手になれよ」


………第二関門突破。


「えっ、いいんですか!?………僕なんかでよければ………僕も、転校してきたばかりで、あまり友達が出来なくて………」


「………だろうな。」


「え、何か言いました?」


「………いや、なんでもねぇ。…………じゃあ、改めてよろしくな、椎名」


「………あ、名前でいいですよ」


「下の名前………"由良"、だっけ?」


ドクン


「………はいっ、僕も高瀬さんのこと、名前で呼んでもいいですか………?」


「好きにしろ」


………少しずつ、


疑われない程度に、距離を詰めていこう。


護衛対象の姫に近づくには、総長に付け入るのが一番の近道だ。


「じゃあ蓮さん、ですねっ!!」


「……っ、おうっ」