君は、狂愛の檻の中 ~偽りの君に恋をした~





俺の言葉がアジトの空気に溶けていく。



……由衣は、信じられないものを見たかのように目を見開いたまま、完全にフリーズしていた。




その瞳に映る驚きと困惑の色。

───それを見ただけで、胸の奥がツンと痛む。



(……あぁ、やっぱりな)





────分かってた。


由衣の心の中にいるのは、きっと俺じゃない。




コイツと出会ってから。



総長として、一人の男として。

ずっと、近くにいたけれど……こいつの”男”にはなれていなかったんだ。









由衣が、震える唇をひらいて何かを言いかけようとする。



……その答えを聞くのが怖くて、俺は少しだけ自嘲気味に笑って、由衣の肩からそっと手を離した。




「……答えは、別にいらない」

「え……?」



「……ただ、伝えたかっただけだ。お前がどんなに遠くに行こうとしても、俺はここでお前を待ってるし、何があっても絶対に味方だから」




一歩、距離を置く。


これ以上近くにいたら、また強引に抱きしめてしまいそうだったから───……