君は、狂愛の檻の中 ~偽りの君に恋をした~



張り詰めた静寂の中、由良は抑揚のない声で、静かに呟いた。





「────俺、だよ」



刹那、部屋の中の空気が凍りついたように静まり返った。





「───おい、それは一体どういう意味だ!」



わけのわからない告白に、俺は思わず由良の胸ぐらを掴む勢いで一歩を踏み出した。




「お前が狙われる理由ってなんだよ!? ……なんでウチの連中まで巻き込まれなきゃなんねぇんだ!?」





────でも。


怒声を浴びせる俺に対して、由良は、ピクリとも動かなかった。


……奴の耳には、俺の言葉すらも届いていないようで。


感情の消えた無表情のまま、ただ、どこか遠くの一点を見つめている。



────だが、

その瞳の奥に、どす黒く、冷たい"怒り"の炎が灯るのを俺は見逃さなかった。







────そして。


「由良、お前……っ」


さらに問い詰めようとした俺は、言葉を失って喉を詰まらせた。



────由良の、すぐ後ろ。


そこに立つ由衣の横顔が、信じられないほど冷たく強張っていて。



いつもの優しくて柔らかい由衣じゃない。


拳を白くなるまで握りしめ、由良と同じ、底の知れない暗い怒りをその瞳に宿していた。