君は、狂愛の檻の中 ~偽りの君に恋をした~

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「はぁぁぁぁ……」

「さっきのはいったい何だったんだよ……」



───とりあえず休憩、ということで。




後処理だのなんだのと言って残った由衣たちを待つ間、俺たちは自販機で買ったジュースを飲みながら、先ほど起きた出来事について話し合っていた。





「……それにしてもさぁ、」

「やば、かったよね……」



神妙な顔つきをした裕太と大晴が、二人でコソコソと噂話でもするように声を潜めている。

……それを、俺はどこか遠い世界のことのようにボンヤリと聞いていた。




「特に、男の方の由良。……俺、あんなゾッとする目、初めて見た」


「黙れ、だっけ。……たった一言で、あの凶悪そうな黒服の男たちを完全に黙らせちゃうなんて……それこそ、本物の"バケモノ"だよ」




────「バケモノ」



……たとえ、それが人間に対する評価としては最悪なものだとしても。


今の彼を表す言葉として、それ以上にしっくりくる表現はないと、妙に納得してしまっている自分がいた。






────それに。



みんなの焦点は由良ばかりに当たっているが、俺は見ていた。


あの時、由衣の周りにも、数え切れないほどの黒服の男たちが転がっていたのを────……




────それは、つまり。


由衣もまた……あの地獄のような戦場の中で、敵を圧倒していたということだ。







『強いです。戦闘も、蓮さんたちよりずっと───』



前に言われた、由衣のあの言葉を疑っていたわけじゃない。




……だけど。

それでも────…………



どこかで、信じていたかったんだ。





いつも俺の後ろでオドオドしていて、”戦い”なんて野蛮なものを何も知らない、あの地味で大人しかった"由良"が。


本来の由衣の姿であってほしい、という一筋の希望(ひかり)を。








でも、それは────……