─── ♠ ───
「はぁぁぁぁ……」
「さっきのはいったい何だったんだよ……」
───とりあえず休憩、ということで。
後処理だのなんだのと言って残った由衣たちを待つ間、俺たちは自販機で買ったジュースを飲みながら、先ほど起きた出来事について話し合っていた。
「……それにしてもさぁ、」
「やば、かったよね……」
神妙な顔つきをした裕太と大晴が、二人でコソコソと噂話でもするように声を潜めている。
……それを、俺はどこか遠い世界のことのようにボンヤリと聞いていた。
「特に、男の方の由良。……俺、あんなゾッとする目、初めて見た」
「黙れ、だっけ。……たった一言で、あの凶悪そうな黒服の男たちを完全に黙らせちゃうなんて……それこそ、本物の"バケモノ"だよ」
────「バケモノ」
……たとえ、それが人間に対する評価としては最悪なものだとしても。
今の彼を表す言葉として、それ以上にしっくりくる表現はないと、妙に納得してしまっている自分がいた。
────それに。
みんなの焦点は由良ばかりに当たっているが、俺は見ていた。
あの時、由衣の周りにも、数え切れないほどの黒服の男たちが転がっていたのを────……
────それは、つまり。
由衣もまた……あの地獄のような戦場の中で、敵を圧倒していたということだ。
『強いです。戦闘も、蓮さんたちよりずっと───』
前に言われた、由衣のあの言葉を疑っていたわけじゃない。
……だけど。
それでも────…………
どこかで、信じていたかったんだ。
いつも俺の後ろでオドオドしていて、”戦い”なんて野蛮なものを何も知らない、あの地味で大人しかった"由良"が。
本来の由衣の姿であってほしい、という一筋の希望(ひかり)を。
でも、それは────……
「はぁぁぁぁ……」
「さっきのはいったい何だったんだよ……」
───とりあえず休憩、ということで。
後処理だのなんだのと言って残った由衣たちを待つ間、俺たちは自販機で買ったジュースを飲みながら、先ほど起きた出来事について話し合っていた。
「……それにしてもさぁ、」
「やば、かったよね……」
神妙な顔つきをした裕太と大晴が、二人でコソコソと噂話でもするように声を潜めている。
……それを、俺はどこか遠い世界のことのようにボンヤリと聞いていた。
「特に、男の方の由良。……俺、あんなゾッとする目、初めて見た」
「黙れ、だっけ。……たった一言で、あの凶悪そうな黒服の男たちを完全に黙らせちゃうなんて……それこそ、本物の"バケモノ"だよ」
────「バケモノ」
……たとえ、それが人間に対する評価としては最悪なものだとしても。
今の彼を表す言葉として、それ以上にしっくりくる表現はないと、妙に納得してしまっている自分がいた。
────それに。
みんなの焦点は由良ばかりに当たっているが、俺は見ていた。
あの時、由衣の周りにも、数え切れないほどの黒服の男たちが転がっていたのを────……
────それは、つまり。
由衣もまた……あの地獄のような戦場の中で、敵を圧倒していたということだ。
『強いです。戦闘も、蓮さんたちよりずっと───』
前に言われた、由衣のあの言葉を疑っていたわけじゃない。
……だけど。
それでも────…………
どこかで、信じていたかったんだ。
いつも俺の後ろでオドオドしていて、”戦い”なんて野蛮なものを何も知らない、あの地味で大人しかった"由良"が。
本来の由衣の姿であってほしい、という一筋の希望(ひかり)を。
でも、それは────……



