いつもは下っ端たちのたまり場になっている、一階の広場。
普段なら、何十人という仲間が集まって、バイクをいじったりカードゲームをしたりして賑やかに盛り上がっているはずの場所。
───そこが今は、見るも無惨な、醜い戦場の跡地と化していた。
あちこちに転がり、苦悶の声を漏らしているウチのメンバーたち。
ほとんどは自力で起き上がれる程度の軽傷のようだが、所々で気絶している奴や、腕から生々しい血を流している重傷者も目に入る。
……だけど、それ以上に異様な光景が、俺たちの目を釘付けにした。
───その周りに転がっている、十数人の動かぬ黒服の男たち。
「は、離せっ……!! お、俺たちはボスに頼まれてやっただけで……っ」
「お、俺は悪くない!! お、お前だって、本当はアイツの仲間だろ……!?」
「チッ、これがバレたら、お前だってボスにタダじゃ……」
「───黙れ」
命を乞うことも許さないまま、ガッと黒服の男の頭を乱暴に掴み上げる由良。
「ボスボスボスってうるさいな。……そんなに俺を怒らせたいの?」
───低く、冷え切った声。
その、どろりと底知れない闇が渦巻く瞳を見た瞬間。
あの日、初めて由良と対峙した時に味わったあの”恐怖”が、じわじわと体の内側から俺を支配していくのが分かった。
頭では、分かっている。
あいつがウチのメンバーを、俺たちを助けてくれたんだってことは、ちゃんと理解している。
───だけど。
俺の意思とは裏腹に、あいつの全身から漏れ出す圧倒的な”強者のオーラ”に気圧されて。
体はおろか声すら出ず、指一本動かすことすら、今の俺には許されずに。
俺はただ、呆然とその様子を見ていることしかできなかった。



