君は、狂愛の檻の中 ~偽りの君に恋をした~




「────」


由衣が、危ない。


(もし、あいつの身に何かあったら、俺は────)



血の気が引いていくような最悪の想像が、脳裏を過る。


恐怖で足がすくみそうになった────その時だった。







「────蓮!!!!」


「っ、なんだ!?」



肩を激しく揺さぶられ、思考の泥沼から無理やり引き戻された。


目の前には、これまでに見たことがないほど必死な形相をした陽人がいて。




「なんだって……俺たち、どうすりゃいいんだよ!!このままじゃ、あいつらも、月華も……」



陽人の切羽詰まった声に、思わずハッとさせられた──その瞬間だった。




───ウギャァァァァァァ!!!!




階下から、地鳴りのような男たちの悲鳴が響き渡る。


ビリビリと空気を震わせるその絶叫に、全員の身体がこわばった。






「っ、もう我慢できねぇ!!!!」


悲鳴に背中を押されるようにして、陽人が弾かれたように部屋を飛び出していった。








────それに、他のメンバーも続く。



「っ、ちょ……陽人、待てって! 下は……」

「危ないので、今すぐ戻ってきてください!!」

「みんなまで行かないでよ~俺まで後に引けなくなっちゃうじゃん」



制止の声も虚しく、大晴、李兎、裕太、そして他の奴らも武器を手にしながら次々と廊下へ駆け出していく。






「っ、待て!!お前たちまで行ってどうする……!!」





(このままじゃ、最悪の場合、全滅だ!!)


総長としての理性が、必死にみんなを止めようと叫ぶ。




慌ててその後を追いかけるようにして、最後に部屋を飛び出した。







───だけど、階段を駆け下りたときには、すでに手遅れで。



一足先に下りた陽人たちが、踊り場で立ち尽くしたまま動かなくなっていた。



「マジ、かよ……」

「これは……ひどすぎる……」




どこか呆然と、魂を抜かれたように呟く陽人たちの隙間を縫って、俺は身を乗り出すようにして下をのぞき込むと。



───そこには、悲惨な状況が広がっていた。