─── ♠ ───
「じゃあ……本当にお前が由良、なんだな」
まだ信じられてねぇような陽人の質問に、コクッと小さく頷く由良。
「………順を追って、説明します」
意を決したように口を開く由良に、全員がゴクッと息を呑んだ。
「まず、見ての通りですが、私の本当の姿は女です。由良っていう名前も、偽名で……本当の、名前は……」
一度言葉を区切った由良の視線が、壁へともたれかかっている男へと向けられる。
その視線を受け、フッと男が笑みを浮かべたのを肯定と受け取った由良が、ゆっくりと口を開く。
「───由衣、です。椎名由衣。これが、私の本当の名前です。由良って言うのは……」
「俺の、名前だよ」
言葉を繋ぐように口を開いた男の声に、思わず全身に電流が走るような感覚がした。
─── 「由衣」。
これが、本当のコイツの名前で。
「由良」っていう名前は、この男からとったものだったのか………。
由良っていうのが偽名なのは、薄々気づいていたし、何度か本当の名前を聞こうとした。
────だけど、ことごとく邪魔されて。
ようやく本当の名前を聞けたと思ったら……その偽名が、他の男からとった物だったなんて。
(最悪、だ………)
いや、由良の本当の名前を聞けたことは、これ以上ないくらい嬉しいし、名前だってすげぇ可愛い。
────でも。
それ以上に、由良────いや、由衣の中で大きな存在であるコイツに対して、心の奥底でどす黒い感情が渦を巻いていた。
「それで、なんでわざわざ男装までしてここに入ってきたのかっていう話なんですけど……」
フッと目を閉じた由衣の、長いまつ毛が目元に影をつくる。
「……詳しくは話せないんですけど、ある人から、頼まれて……"月華の姫を、秘密裏に護衛しろ"って」
「じゃあ……本当にお前が由良、なんだな」
まだ信じられてねぇような陽人の質問に、コクッと小さく頷く由良。
「………順を追って、説明します」
意を決したように口を開く由良に、全員がゴクッと息を呑んだ。
「まず、見ての通りですが、私の本当の姿は女です。由良っていう名前も、偽名で……本当の、名前は……」
一度言葉を区切った由良の視線が、壁へともたれかかっている男へと向けられる。
その視線を受け、フッと男が笑みを浮かべたのを肯定と受け取った由良が、ゆっくりと口を開く。
「───由衣、です。椎名由衣。これが、私の本当の名前です。由良って言うのは……」
「俺の、名前だよ」
言葉を繋ぐように口を開いた男の声に、思わず全身に電流が走るような感覚がした。
─── 「由衣」。
これが、本当のコイツの名前で。
「由良」っていう名前は、この男からとったものだったのか………。
由良っていうのが偽名なのは、薄々気づいていたし、何度か本当の名前を聞こうとした。
────だけど、ことごとく邪魔されて。
ようやく本当の名前を聞けたと思ったら……その偽名が、他の男からとった物だったなんて。
(最悪、だ………)
いや、由良の本当の名前を聞けたことは、これ以上ないくらい嬉しいし、名前だってすげぇ可愛い。
────でも。
それ以上に、由良────いや、由衣の中で大きな存在であるコイツに対して、心の奥底でどす黒い感情が渦を巻いていた。
「それで、なんでわざわざ男装までしてここに入ってきたのかっていう話なんですけど……」
フッと目を閉じた由衣の、長いまつ毛が目元に影をつくる。
「……詳しくは話せないんですけど、ある人から、頼まれて……"月華の姫を、秘密裏に護衛しろ"って」



