君は、狂愛の檻の中 ~偽りの君に恋をした~



男はケラケラ笑いながら、由良の胸元を長い指で指差した。



「てか、妹ちゃんもそういうの付けるんだ。……あんまりそういうの付けてるイメージなかったんだけどなぁ」

「……うるさい」


「え〜、もしかして照れてるの?」

「照れてない」



────迷いがない即答。

けれど、その耳はほんのり赤く色づいていた。





「やば、かわい〜。由宇くんに見せたら倒れるんじゃない?」

「だからやめてって……」



フイッと横を向きつつも、俺と二人きりの時より少しだけ空気が柔らかい。




………なんでだよ。


なんで、俺よりもその男の方が────




「ほんと、見せてあげられたら、よかったのに」


男が、一瞬だけトーンを落とした。




ゆるくもてあそんでいる長い金髪が、顔に影をつくった。




「もう、遅いよ………」


それにつられるように、ぽつりと小さな声でつぶやいた由良。





────「由宇」

さっきから会話に出てくるその名前。




それってたしか…………


『殺されたんです』



以前、由良がぽつりと漏らした言葉が脳裏によみがえる。

────胸の奥が、嫌な音を立てた。