(……まるで女、みてぇだな)
そこで、ふと、真っ暗だった脳裏に一筋の強烈な光が走る。
……待てよ、もしも、由良が本当は“女”だって可能性は、どこにもないのか?
そう考えた瞬間、心臓がドクン、と嫌なほど大きな音を立てて激しく鳴り響いた。
男にしてはあまりにも細すぎる華奢な身体、さっきその肩を抱き寄せた時に感じた、あの今にも壊れてしまいそうだった繊細な骨格。
そして、俺の指先に触れた、あの透き通るように白くて柔らかかった肌。
それに、何よりも──。
男なら誰にでもあるはずの、あの喉仏。
───けれど。
今こうして頭上の月明かりに照らされている由良の細い首筋には、それらしい膨らみなんてどこを探しても見当たらない。
全身の心臓が、さっきまでとは全く違う、別の弾けるような意味を持って跳ね上がる。
もし、もしも本当に由良が女だったとしたら。
今まで俺の中に渦巻いて、自分を酷く苦しめ続けていたこの狂おしい感情は、何一つとして間違っていなかったことになる。
さっきまで、“叶わない恋”だと自嘲していた自分を殴り飛ばしたくなるくらいの希望。
ありえないほど熱い感情が、一気に胸を駆け上がる。



