君は、狂愛の檻の中 ~偽りの君に恋をした~




代わりに俺たちの間にじわじわと築かれていくのは、決して触れることのできない透明な壁。

俺には逆立ちしたって決して踏み込むことの許されない、あまりにも遠い距離。


二人は、俺には理解できない言葉を使い、
俺の知らない暗い時間を今も当たり前のように共有している。


その残酷な現実を突きつけられただけで、俺の胸の奥底は、二度と止まらないほど激しくざわついていた。




それに──。



(……コイツ、こんな声で話すのか)


二人の会話を耳にしながら、不意に、そんな異質な違和感が胸を支配する。



今まで俺たちの前で使っていた、わざと低く作ったみたいなくぐもった声じゃない。


もっと澄んでいて、もっと自然で、
まるで鈴を転がしたみたいに、凛としているのに───どこか冷くて。




……あまりにも美しい声が、やけに長く耳の奥に残って離れない。


聞けば聞くほどに、俺の胸の奥底はざわついて、どうしようもないほど落ち着かなくなっていった。