「あー、まあ、一応この後報告に行くつもりだったけど………」
この後……?報告……?
一体何を、そしてどこの誰に対してだ。
お前は今、俺と一緒にいたんじゃねぇのか。
俺が守ると決めた、その覚悟さえも、お前にとっては”報告”すべき仕事の一部に過ぎないのか……?
胸の奥底が、じわじわと得体の知れない黒い泥のような感情で濁っていく。
「……そうななのか?じゃあ一緒に行こうぜ。俺もそっちに呼ばれてっからさ」
“カケル”が極めて自然な動作で、由良のすぐ隣へと当たり前のように並び立つ。
そのあまりにも見慣れたような二人の距離感が、今の俺には無性に腹立たしくて仕方がなかった。
俺の知らない場所で。
俺の知らない時間を共有してきた奴だけが持つ、“当たり前”の近さ。
「うん、わかった」
一切の迷いすらない、由良の短い返事。
……短くて。
まるでそれが日常だと言うかのようで。
──その一言だけで、胸の奥が酷く軋んだ。
“月華”の総長として、どこへ行っても中心だったはずの俺が、今はただ、二人のやり取りを黙って見ていることしかできない。



