君は、狂愛の檻の中 ~偽りの君に恋をした~

♠ Ren




───明日には、戻ります。


そんな由良からの連絡を聞いてから、ずっと気が気じゃなかった。




まだ顔を見れたわけじゃないけど、とりあえずはアイツが無事だってわかったから。


正直……最悪のパターン、”もう一生由良に会えなくなる”なんて事態だけは免れて、心の底からホッとした。






───だけど。

目を閉じれば、すぐに浮かぶ。

あの男を視界に入れた瞬間、泣きそうに歪んだ由良の、あの切ない表情(かお)。


あの日、砂浜で俺に見せたあの顔は。

───俺だけが知っている、由良の”特別”だと思っていた。






───なのに。


由良は、なんの躊躇いもなく。

─── むしろ俺の時よりもずっと自然に、別の男へその顔を向けた。



(………クソッ)




一体、あの男は誰なんだ。

由良と、どんな関係だよ。


────由良の、何を知ってるっていうんだ。


どす黒い嫉妬と、名前も知らない男への怒りが、再び胸の奥からふつふつと湧き上がってきた、その時───……。










「総長っ!!!!」



勢いよくドアが開いて、慌てた様子の下っ端が駆けこんできた。



「っ、どうしたの?」


優雅にソファに座っていた大晴も、ただならぬ様子にバッと立ち上がり、その場にいた全員の視線が、息を切らすそいつに集中した。




「っ、あ、そ、その………」

「…襲撃か?」


「あ、いえ、ちがいます……」


言いにくそうに口ごもる様子に、全員が身構えたものの、どうやら抗争の類ではないらしい。





「───じゃあ、一体なにがあったと言うんですか?」


幹部のなかで一番冷静な李兎が、静かに問いかける。




「や、そ、その……下、に……」

「「「「「下?」」」」」