「っ、な、ちが……///」
必死に否定しようとするけれど、その頬は嘘をつけないほど赤く染まっている。
(───いい加減、認めちゃえばいいのに。……ねえ、由良?)
「由良も………恋、してるんだね」
「っ!!!!」
図星、だったのかな。
バッと口元を手で覆い、拒絶するように顔をそむけてしまった由良。
───でも。
髪の隙間からちょこっとのぞく両耳は、朱に染まりきっていて。
いつも冷静な由良が、どれだけ動揺しているのか伝わってきた。
(かわいいなぁ………)
「っ、恥ず……///」
そっぽを向いたまま頑なにこちらを見ようとしない由良を、私は背後からそっと抱きしめた。
「……いいと思うよ。私は由良のこと、全力で応援してるから」
「───」
静寂に包まれた空間。
冷え切った空気の中で、私たちのトクトクという鼓動だけが重なり合う。
「……でも、あきらかに住む世界が違うじゃん。叶わない恋なら、最初からしないほうが傷つかずに済むでしょ」
シンと静まり返った部屋にポツリと広がった、少し拗ねたような声。
───立場、か。
……まあ、そうだよね。
私たちが普通の恋を望んだ時、容赦なく突きつけられる最大の障壁(かべ)。
血と硝煙に塗れた裏社会のトップである私たちと、何一つ汚れを知らない表社会の人間。
………交わるはずのない二人が、手を取り合って幸せになれるはずがない。
───だけど。
その絶望を抱えているのは、由良だけじゃない。
「私も、同じだよ。というか、私たちにつりあう人間なんて───」
───いるはずがない。
そう、言葉を続けようとした。



