「…………誰?」
ふいに、下から聞こえてきた声に、びくっと肩が揺れた。
「っ、起きてたの……?」
ついさっきまで、
私の膝の上に頭を置いて、スヤスヤと寝息を立てていたはずの由良。
……が、今は薄っすらと瞼を開け、私の顔をジッと見つめていた。
「ついさっき起きた。……で、相手、誰なの」
静かに、でも有無を言わさぬ問い。
逃げ道を塞がれるような冷たい声に、思わず息が詰まる。
「えっ、と………さっき話した、暴走族の総長、だよ………」
「へー」
相変わらず、興味のなさそうな生返事。
───だけど。向けられた瞳の奥には、明らかな警戒の色が滲んでいた。
「でも、なんでそんなこと聞くの……?」
今までの由良なら、いちいち詮索なんてしてこなかったはず。
なのに、どうしてそんな、私のすべてを見透かすような目で見るの……?
「……由衣が、いつもと違う表情してるから」
え───、
「違う、表情……?」
ドクン、と心臓が嫌な音を立てる。
ヒンヤリとした長い指先が、私の頬を優しく包み込んだ。
………冷たいのに、触れられた場所が火傷しそうに熱い。
「──うん」
─────由良の綺麗な瞳が、まっすぐに私を捉えて─────
「俺らには絶対に見せない───、特別な男の人の前でする、女のコの顔」
「─────っ、」



