○学校内で
菜穂「あれ、学生証がない〜!」※焦ってカバンの中を探す
美月「どこかに落としたー?」
菜穂「この前、クラブ行った時に落としたのかな」
美月「なんで持ってくのよ!」
菜穂「だって、もし万が一危ない時に未成年って見せれば助かるかなって思って...」※シュンと落ち込む
美月「意外と探せばあるかもよー」
菜穂(本当にどこに落としちゃったんだろ...)※不安そうな顔
美月「そんなことより!ねぇ!聞いて菜穂!」※机を乗り上げて目をキラキラする
菜穂「どうしたの、美月」
美月「昨日さ、私がよく行くカフェあるじゃん!あそこに行ったらさ、めっちゃイケメンな店員がいてさ!」
菜穂「で、また恋に落ちたってこと?」※呆れる顔
美月「つまりそういうこと!」※目がキラキラしてる

○カフェで
店員「お客様、よく当店ご利用されてますよね」
カウンターでドリンクを受け取ろうとしてた美月。
美月「え...?」※ポカンと店員を見つめる
店員「自分が出勤してる時、よく見るので。迷惑かもしれないけどホイップ少し多めにしときました。」
カウンターの上には用意されたホイップ盛り盛りのドリンク。
美月(か、かっこいい...!)※恋に落ちる

○学校内に戻る
美月「て、ことで今度菜穂も一緒に行こうよ!」※菜穂の手を握る
菜穂「いいけど、恋に落ちるの早くない?」
美月「別に減るもんじゃないでしょ!菜穂も早く彼氏作らないと高校生活終わっちゃうよ!」
菜穂「余計なお世話!」※ムッとする顔

○学校外で
美月「今日も学校終わったー!菜穂この後何するの?」
下校をする菜穂と美月
菜穂「学生証見つからないから警察に落とし物であったか聞いてこようかな」
美月「絶対に家とかにあるって!心配性なんだから〜」
菜穂「だってもし無い時再発行嫌だもん、お金とられるし...」
美月「そりゃそうだわ!早く見つかるといい...、って、菜穂あそこにいる人...」※正門を驚いた顔で指差す
菜穂「ん...?あ...」※美月の指差す方向を見て、同じく目をまんまるに驚く
美月が指差した方にいたのは、学校の制服を着ている麗司だった
学校から下校している女の子たちは麗司を見て、「かっこいい」とザワザワしている
麗司は菜穂に気付き、菜穂の方に近寄る
菜穂(え、こっち来てる...?)※驚いて止まる
美月「ちょ、あんた...!この前の...!」
麗司「これ」※菜穂に差し出すのは学生証
菜穂「あ...」※差し出された学生証を受け取る
麗司「落として帰ってた。じゃ。」※帰ろうとする
菜穂「あ、ありがとう..!」
麗司「もう、無謀なことはすんなよ。」
麗司はふっと笑い、ポンっと菜穂の頭を撫でた。
麗司が帰る時も周りの女子たちはキャーキャーしている。
少し顔が赤くなる菜穂、隣でニヤニヤしてる美月。
美月「菜穂〜、恋に落ちちゃった?」
菜穂「...なってない!!見つかって嬉しいの!」※顔を真っ赤にする
美月「あいつも良いとこあるじゃん。すぐ物捨てそうなのに。しかも高校生だったし、あの制服は南高だったけな」
菜穂「え、南高ってあそこ!?あの不良しかいないって噂の?」※学生証を握り、びっくりした顔で美月を見る
美月「多分その南高だと思うよー、...やっぱり惚れちゃった?」※またニヤニヤする
菜穂「名前も知らない人に惚れない!」
菜穂(惚れてない...惚れてない...あんなクラブで働いてる高校生なんて...怖い人に決まってる!)

○別日の学校にて
美月「な〜ほ!大変大変!」※慌ただしく走ってくる
菜穂「おはよう、美月。どうしたの?そんなに走ってきて」
美月「あの、前行ったカフェの店員覚えてる!?」
菜穂「うん!ホイップ増量の人でしょ?」
美月「そうそうそう!あの人多分南高の人かも!」※やや興奮気味に話す
菜穂「へ...?」※ポカンと驚く
美月「昨日ちょうどカフェの前通った夜その店員さんが店から出てきてて、制服がこの前来たクラブの店員と同じ制服だったからさ!南高不良高で怖いけど、あの店員さんは絶対悪い人じゃ無い!確信してるから!」
菜穂「いや、あんな不良高危ない人に決まってるじゃん!」
美月「まぁ、他校も全然アリだし私!今日の帰り道さ南高の前通ろうよ!菜穂もこの前の店員に会えるかもよ!」※菜穂の両手を握る
菜穂「会えるって...、でも危ないよ!良い噂聞かないし。」
美月「この前はクラブ内だけど今回は高校だし、むしろ外だから危ないことなんてないよ!ね!お願い!」※懇願する
菜穂「...んもぅ、私すぐに帰るからね」※呆れる顔
美月「ありがとう!菜穂!菜穂の恋も応援してるから私!!」
菜穂(...別に好きじゃないもん...)

〇南校の前にて
美月「ここだ!なーんだ不良校って言ってたから校舎ボロボロだと思った!」※目を輝かせて周りをキョロキョロ見る
菜穂「美月声大きすぎ。失礼だよ!」
颯「可愛いお嬢さんたち、ここで何してるの?」
後ろから声が聞こえ、振り向く2人。
そこにいたのは美月の行きつけのカフェの店員の颯が立っていた。
美月「あ...!カフェの店員さん...!」※目を真ん丸にさせて顔が赤くなる
颯「あっ!俺のバイト先によく来てる子じゃん!なんで南高なんかに来てるの?彼氏?」
美月「あ、あ、か、彼氏いないです!!その...、」※恥ずかしがってもぞもぞする
颯「なーんだ!君、可愛いからかっこいい彼氏いるのかと思ったよ。」
美月「ぼ、募集中なんで...!」
菜穂(美月の好きな人この人なんだ...)
顔を真っ赤にして話す美月と、余裕があるようにくすっと笑う颯。
麗司「おい、颯、何してる...んだ?」
正門から麗司がスクールバッグを肩に掛けて、びっくりした顔をしている。
颯「遅いよ、麗司。可愛い女の子たちいたから話しかけちゃった!」
麗司はずんずん菜穂の前に立つ。
麗司「おい、何しに来たんだよ。お前たちみたいな頭お花畑でもここは良く思われてない学校って知らなかったのか?」※菜穂を睨みつける
菜穂「私は美月の付き添いで...」
麗司「また友達のせいか?本当危ないところ好きだなお前ら。」
颯「え、2人知り合いなの?」※不穏な空気の中ヒョコっと颯が話し出す
麗司「こいつら前俺のバイト先来て、男に襲われそうになってた。まぁ、人の話は聞かないみたいだけどな。」
美月「もぅ!私が全部悪いから菜穂のこと責めないで!」※菜穂をかばう
颯「でも確かにこの学校に悪い奴らはいるからまだ話しかけてきたのが俺で良かったよ。こいつ、話し方下手なだけで2人のこと心配してるんだよ。」※ニッコリと笑い、麗司の頬に指をさす
麗司「バカそうだから言ってんだよ。やめろ、颯。」
颯「まぁ、これも何かの縁だよ!俺は颯で、このぶっきらぼうが麗司。君たちは?」
美月「私、美月!美しい月で美月!」
菜穂「あ、私菜穂です...」
颯「2人とも可愛い名前してるね。俺ら、この後行かなきゃいけないところがあって、もしよかったらなんだけど連絡先交換しない?」
美月はピョンピョンと嬉しそうに連絡先を渡し、菜穂も連絡先を交換した。
麗司「おい。」※菜穂に話しかける
菜穂は麗司の顔を見上げる。
麗司「もし、困ったことがあったらここに連絡してこい。お前、危なっかしいから。」
麗司は菜穂に連絡先を渡した。
菜穂「危なっかしくないもん...。」
颯「2人ともありがとうね。今度4人で遊ぼうよ!」
美月「ぜひぜひ!またカフェ行きますね!」
颯「待ってるよ!また何かしらトッピング増やすから。」
麗司「ちゃんとこの後家に帰れよ。寄り道すんな。」
菜穂「子ども扱いしないで!」
麗司「子供だろ、お前」※フッと笑い歩き出した
麗司と颯は帰っていった。
美月「ねぇ!菜穂!どうしよう颯さんだって!会えたし、連絡先貰っちゃったよ!」※興奮している
菜穂「あいつ、すごい偉そうだった。」※不満そうな顔
美月「でも確かに麗司さん偉そうだけど、颯さんも言ってた通り心配してるんじゃないの?」※ニヤニヤする
菜穂と美月は帰っていった。

〇麗司と颯の帰り道
颯「あぁー、俺菜穂ちゃんと美月ちゃんたちと帰りたかったよぉ。」※残念そうな顔
麗司「もとから今日はあそこに行く予定だったろ。そんなにあの2人と帰りたいなら勝手に行け。」※冷たく言い放つ
颯「んもぉ、麗司ったら冷たいんだから。俺は約束は破らない男だから...、あの子に会いに行くよ。」※いきなり顔つきが変わる
麗司「...まぁ、お前来た方が喜ぶから、あいつも。」※フッと笑う
颯と麗司の帰る後ろ姿

〇菜穂の家にて
菜穂の部屋であおむけでベットの上でジッとスマホを見つめている。
菜穂(ほ、本当に連絡先がある...。)※スマホを見つめる
スマホの画面には【麗司】の文字。
菜穂(あの人みたいな綺麗な男の人見たことないな...、性格は終わってるけど)
菜穂は頭の中に初めて会ったクラブでの睨み、学生証を渡してくれた時の微笑み、今日子供のように扱われて鼻で笑われた麗司を思い出す。
菜穂「...私、子供なんかじゃないもん...」※ボソッと呟く
ガバッと布団に潜り込み、少し麗司のことを思い顔が赤くなる。

設定
颯:身長178㎝のスマートなスタイル。キャラメルのようなふわふわな茶髪で、子犬のようなクリっとした瞳。馴染みやすく、話が上手。麗司とは昔からの関係。カフェでアルバイトをしている。