「『いいなあ、私も綺麗なドレスを着て踊ってみたい……! お城のパーティーで出てくる美味しいお料理を一度でいいから食べてみたい……!』」
生徒会室でセリフを読み合わせていたときとは声の響きが全く違う。
本番は口元にマイクを付けているとはいえ、この広い空間に自分の声が吸い込まれてしまう感じがすごく不安になる。
今は誰もいないからなんてことないけど、文化祭当日はここに生徒たちがびっしりひしめいているわけだ。
……嫌だ。想像しただけで嫌すぎる。逃げたい。まじで。今すぐに。
さすがのわたしでも、舞台に立って主役を張ってしまったらどう頑張っても存在感を消せない。
せめて良くも悪くも記憶に残らないようにしよう。
一度通しでセリフを読み上げた後、舞台から降りたわたしはああああ……と大きく大きくため息をつく。
「ため息吐いてると幸せ逃げるぞ」
「ひぃっ」
背後から忍び寄って突然耳元でしゃべるのやめてくれないかなあ会長さんよ。



