……わたしがシンデレラの衣装を試着したことで何故か桃先輩の機嫌を損ねてしまった翌日。彼女は何事もなかったかのように生徒会室に姿を現した。
前日のことには何も触れず、いつも通り仕事をして、淡々とシンデレラの義姉のセリフを覚えていた。
会長と向坂先輩も何も言わないし、あの日のことは無かったことにしたのかな? と思った。
ただ。
「あ、あの桃先輩。ここのセリフのタイミングなんですけど……」
「……」
わたしを相手にしたときに限っては、これまでと様子が違う。
目を合わせようとせず、こうして話しかけても聞こえないフリをされる。
まあ、もともと存在感薄すぎてクラスメイトに話しかけても気付いてもらえないなんてことは日常茶飯事だし。
桃先輩も意図的に無視してるわけじゃなくてわたしの声に気付いてないだけなのかもしれないけど。
その後、わたしたちは実際に開会式が行われる体育館の舞台に移動して練習を再開した。



