授業で使う地図やら地球儀やら小難しそうな本やら謎の埴輪やらが所狭しと散乱し、中庭に面した窓を開ければ生徒たちの賑やかな声が聞こえてくる。
いつ行っても日本史のおじいちゃん先生が温かいお茶をすすっていて、時々渋い茶菓子を分けてくれる。
そんなところ。
教室の席がどこかの派手なグループに我が物顔使われてしまっている昼休みとか、よくここにお邪魔している。
「……」
わたしは無言で立ち上がり、ファミレスで何を食べるか大いに盛り上がっている男子グループを廊下で静かに追い越す。
だめだ。あの場所はちゃんと快適な場所に保たなくては。
掃除当番がいつまでも来なくては、日本史のおじいちゃん先生も困るだろうし。
というわけで、わたしは当番でもないのに一人社会科準備室へとやってきた。
おじいちゃん先生は居眠りしていたようで、わたしが戸を開けた音にはっと顔を上げた。
「おや原さん。今日の当番は原さん一人かい?」
「へへ、まあそんなとこです」
ちょっとうつむきながらそう答えつつ、掃除道具を取り出す。



