だけどその柔和な笑みの奥に、獲物を見つけた肉食獣を思わせる邪悪さが見え隠れしている。それが今のわたしにはわかった。
ひっ……と喉の奥で悲鳴が上がる。
とっさにカバンで顔を隠したわたしは、昨日と同様の鈍足なりのフルパワーで逃げ出そうとする。
が、今日は昨日のようにはいかなかった。
会長はわたしが逃げようとした方向に、通せんぼするように立ちはだかった。
「また逃げるのかよ。いい度胸だな」
「ひぃぃぃ……! すみませんすみませんすみませんんんん!」
「そんな反応されるとまるでオレが悪者みたいじゃねぇか」
少なくともわたしにとっては悪者ですうぅ!
脳内に昨日の情景が生々しくよみがえる。
不良生徒を泣かせるほどの圧力と、肌に彫り込まれた青黒い模様。
不敵な笑みを浮かべられると、半径2m以内の気温が数度下がったよに錯覚する。
ああ、思い出すだけで顔が引きつってきた。
そんなわたしに、会長は柔和な笑みを浮かべたまま囁くように言った。



