わたしのことなんてもう一生放っておいてくれて構わないし、なんなら視界に入れてもらわなくて構わない。
教室の隅で、静かに周囲を観察している。それだけでいい。
誰もわたしの存在なんて気にしなくていい。誰にも見えなくていい。
それなのに──
「……る? おいミチル。聞こえないフリしてるのわかってんだよさっさと返事しろ」
「ひっ」
一ヶ月ほど前から、放課後になるとある男がわたしの元を訪れるようになった。
黒とは明らかに違う色合いだが、地毛だと言い張れば押し通せる程度の明るさの髪。
美白に命をかける女子が羨むようなキメの細かな白い肌に、切れ長の目。
その他形の良いパーツがバランスよく配置されており、流行りの顔というよりは普遍的な美少年といった雰囲気。
しかしながら、「か弱い」とか「なよなよとしている」という印象は全くなく、身長体重は高校生男子の平均ほどなのに、立っているだけで何となく威圧感がある。
それがこの男。朱月高校生徒会会長、東間敬人だ。



