「そうそう、素直に従っとく方が賢いぞ。クラスと名前は?」
「え……わ、わたしのですか」
「他に誰がいるんだよ」
「あ……一年三組の原路留です」
「ハラミチル。へえ、満腹そうな名前だな」
腹満ちるってか。上手いこと言いよる。
「じゃあミチル。お前に言いたいことがある」
ミチル。
生徒会長は、家族ぐらいしか呼ばないわたしの下の名前を呼ぶ。
出会ったそばから馴れ馴れしくしてくる男は要注意だとお姉が言っていたことを思い出す。
警戒メーターをさらに一段階引き上げておこう。
「な、なんでしょう」
「スマホ出せ」
「へっ」
「さっき動画撮ってただろ。拡散されたら面倒だし、木坂に怒られるし。知ってるか? あいつ笑顔で怒るからちょっと怖い」
知りません。
咄嗟に両手で抱え込もうとしたけれど、それより一瞬早く会長はわたしの手からスマホを抜き出す。
動画を回しっぱなしだったので、ロックは解除された状態だ。



