屋上について、約2分。
一向に2人は喋ろうとしない。
その時、ピコンと私のスマホが鳴った。
『Haru様にありがとうございますって言っといて!私も言っとくから!そらちゃん楽しんで〜』
という、謎のいろちゃんからのメッセージが届いていた。
でも、一応Haru様には言っておいた方がいいと思い、私はHaru様の近くにいった。
「Haru様、いろちゃ、彩果ちゃんがありがとうございますって言ってました」
なるべく冷静さを保ちながらHaru様に話しかける。
「あっ本当〜!
あと、様とか付けないでよ〜!」
そう言ったHaru様はふわふわとしていてなんだか愛おしい。
「!?様を付けない……?」
「あっ!一応ぼくの名前は加田春(かだはる)だよ〜!」
なんとHaru様が本名を教えてくれた。
「そっ、それじゃあ、春さんって呼ばせていただきます…」
「いいねぇ〜!」
春さんと話しているとSakuya様が口を開いた。
「てか、天宮空良
俺が誰か本当にわかってないのか?」
私はSakuya様が言っていることが全く理解できなかった。
ブルフラのSakuyaとはわかるけどそのこと以外になにかあるような口ぶりだった。
「へ……?
ブルフラのSakuya様以外に…?」
そう言って、考え込んだけど全く分からず、本人に直接聞いてみた。
「俺は、ブルフラのSakuyaでもあるけど、1人の高校2年生でもある。
本名は、久崎咲也(くさきさくや)だ」
なんとSakuya様までも本名まで教えてくれたのだ。
しかも、私は本名を聞いた時、頭のどこかに突っかかりを覚えた。
どこかで聞いたことがある気がする
「久崎、咲也さん…」
「思い出したか?
俺たちはライブとかじゃなくて小さい頃何度も会ってたんだよ。」
そう言った久崎咲也さんの表情は、懐かしいものを見るようなライブでもTVでも見たことのない優しい笑顔だった。


