解けない魔法を このキスで

夕方に始まった披露宴では、たくさんの友人や仕事終わりの『フルール葉山』と『プラージュ横浜』のスタッフも駆けつけてくれる。

クリスマスイブにお誘いするのは気が引けるからと、身内だけの食事会にするつもりだったが、未散が声をかけるとたくさんの人が出席したいと言ってくれた。

堅苦しい挨拶は抜きで、皆で楽しく食事をしながらおしゃべりや記念撮影を楽しむ。

程よくお酒も入ると、未散と春日が楽しそうに音楽に合わせて踊り始めた。

「ふふっ。未散ちゃんと春日さん、お似合いね」
「ああ、そうだな。二人の結婚式は、ミラノで?」
「うん、そうみたい。私達も参列しましょう」
「もちろん」

二人で話していると、未散がメインテーブルまでやって来た。

「ほら! 美蘭も高良さんも、ウェディングワルツをどうぞ」
「なあに? それ」
「いいから、ほら」

促されて、美蘭と高良はフロアに下りる。
向かい合ってお辞儀をすると、手を取り合った。
するとロマンチックなメロディが流れ始める。

「A Dream Is A Wish Your Heart Makes」

夢は心が作り出す願い。
信じ続けていれば、きっと夢は叶う。

そしていつか、たった一人の運命の人を見つけられる。
解けない魔法でプリンセスにしてくれる、自分だけの王子様に。

美蘭は高良の手に導かれて軽やかに踊りながら、高良と出逢えた奇跡に感謝する。
見上げると、高良は優しい眼差しで見つめ返してくれた。

「美蘭、心から君を愛してる。誰よりも綺麗な俺だけのシンデレラ」

その言葉は一瞬で美蘭を、笑顔のプリンセスに変える。

「私もあなたが大好きです。私のたった一人の王子様」

高良はふっと頬を緩めた。

「魔法使いじゃなくて?」
「ふふっ。魔法が使える王子様なの」

高良は笑みを浮かべて美蘭に頷く。

「ああ、いつだって君を一瞬で幸せにしてみせる。解けないこの魔法でね」

そう言うと高良はそっと美蘭を抱き寄せ、愛を込めた甘く優しいキスで、プリンセスに魔法をかけた。

(ハッピーエンド♡)