解けない魔法を このキスで

「ああ、もう、ほんとに綺麗!」

挙式のあと、大階段での写真撮影で、美蘭の介添えをしながら未散は何度もうっとりしていた。

「最高級のシルクに最高傑作のデザイン。そしてさいっっこうに幸せそうな花嫁! ああ、まぶし過ぎるわ」

ドレスのトレーンを整えるたびに感激する未散に、美蘭は苦笑いしながら高良と顔を見合わせる。

「でも本当に綺麗だ、美蘭」
「ありがとう。自分のウェディングドレスを作るなんて、すごく幸せだった」
「これからもっともっと俺が幸せにしてみせるよ」
「私も。あなたをずっとずっと幸せにしたいです」

微笑みながら見つめ合う二人を、カメラマンが何枚も写真に収める。
するとどこからか、女の子の声が聞こえてきた。

「わあ、きれい。シンデレラみたい! ママ、プリンセスがいるよ! はじめてあえた」

美蘭は驚いて階段の下を振り返る。
そこには、目をキラキラ輝かせた可愛らしい女の子の姿があった。

美蘭と高良は、17年前のことを思い出す。

「まるであの時の小さな美蘭だな」
「ええ。ここからあの女の子のシンデレラストーリーが始まるといいな。ここは『さめない夢が叶う場所』だから」
「ああ」

二人はもう一度、幸せを噛みしめながら見つめ合った。