仕事もお互い順調で、高良はミラノの春日とやり取りしながらホテル建設を進めている。

ソルシエールも無事に春日ブライダルと提携を結び、現地の未散が手直しから当日の立ち会いまでこなしていた。

上質な生地の手配や、ドレスのデザインなど、未散がミラノにいてくれるおかげでソルシエールの世界も大きく広がった。

なによりも、未散がミラノで楽しそうに暮らしているのが美蘭は嬉しかった。

『ねえ、美蘭。ホテル建設が本格化したら、高良さんも頻繁にミラノに来るんでしょ? そしたら美蘭も一緒においでよ』
「うん、そうだね。未散ちゃんに会いたいし」
『私も会いたいぞー。でもまずは、クリスマスイブの結婚式だね。どう? ドレスは仕上がった?』
「うーん、まだまだかな。毎日ちょっとずつ手を加えちゃうの」
『あはは! それが美蘭だもんね。完成するのは挙式当日。高良さんと並んで幸せいっぱいに微笑み合った時、でしょ?』

美蘭は真っ赤になって口ごもる。

『美蘭、さては今照れてるでしょ。結婚式でも散々冷やかしちゃおー』
「もう、未散ちゃんってば」
『うそうそ。幸せのおすそ分けをいただいちゃう。じゃあねー、美蘭。ドレス作りがんばってねー』

最後まで明るく言って、未散は電話を切った。