「ごめん、疲れただろ?」
頃合いを見て、高良は美蘭を先ほどのソファに促した。
「座ってて。今、ドリンクを持ってくる」
「ありがとうございます」
高良はクリスマスケーキとノンアルコールカクテルを、ソファの前のテーブルに運ぶ。
「わあ、クリスマスケーキ! 素敵」
美蘭は子どものように目を輝かせると、カクテルグラスを手に高良に笑いかけた。
「メリークリスマス」
ドキッとしつつも平静を装い、高良も「メリークリスマス」とグラスを掲げた。
「とっても美味しいです。思いがけず、素敵なクリスマスになったなあ」
その言葉に、高良は以前美蘭が話していたことを思い出す。
「スイートルームをおねだりしようにも彼氏はいません」
「お相手もいないのに、ドレスだけ作るなんて変でしょ?」
ということは、美蘭には今、恋人はいない。
そう思った途端、目の前が明るく開けた気がした。
これまで自分は、恋愛に対してどこか煩わしさを感じて消極的だったし、美蘭に「自分の為のドレスを作ってみて」と提案したのも、そこまで深い意味はなかった。
いつも誰かの為にばかりドレスを作っている美蘭に、もっと自分のことも大切にしてほしいと思ったまでだった。
パーティーに誘えばドレスを着る機会も出来るからと、これまた気軽に声をかけたのだが、それがこんなにも美蘭に心奪われることになるとは。
高良はもはや、ひとときも美蘭から目をそらせなかった。
頃合いを見て、高良は美蘭を先ほどのソファに促した。
「座ってて。今、ドリンクを持ってくる」
「ありがとうございます」
高良はクリスマスケーキとノンアルコールカクテルを、ソファの前のテーブルに運ぶ。
「わあ、クリスマスケーキ! 素敵」
美蘭は子どものように目を輝かせると、カクテルグラスを手に高良に笑いかけた。
「メリークリスマス」
ドキッとしつつも平静を装い、高良も「メリークリスマス」とグラスを掲げた。
「とっても美味しいです。思いがけず、素敵なクリスマスになったなあ」
その言葉に、高良は以前美蘭が話していたことを思い出す。
「スイートルームをおねだりしようにも彼氏はいません」
「お相手もいないのに、ドレスだけ作るなんて変でしょ?」
ということは、美蘭には今、恋人はいない。
そう思った途端、目の前が明るく開けた気がした。
これまで自分は、恋愛に対してどこか煩わしさを感じて消極的だったし、美蘭に「自分の為のドレスを作ってみて」と提案したのも、そこまで深い意味はなかった。
いつも誰かの為にばかりドレスを作っている美蘭に、もっと自分のことも大切にしてほしいと思ったまでだった。
パーティーに誘えばドレスを着る機会も出来るからと、これまた気軽に声をかけたのだが、それがこんなにも美蘭に心奪われることになるとは。
高良はもはや、ひとときも美蘭から目をそらせなかった。



