ダイニングテーブルで豪華なホテルの朝食をごちそうになりながら、美蘭は緊張で身を固くする。
ずっと高良が自分の様子をうかがっているようで、居心地が悪かった。
クロワッサンを口にして、あまりの美味しさに驚いていると、クスッと高良が小さく笑う。
美蘭はちらりと視線を上げた。
目が合うと、高良はまたしてもふっと笑みを浮かべる。
美蘭はどうにも耐えられなくなった。
「あの、なにか?」
「いや。昨日の勇ましさが嘘のようにしおらしいから、不思議でね」
「そんな……。私、ドレスのこととなるとスイッチが入ってしまうんですが、本来は内気な性格なんです」
「へえ、それはどうだろう?」
「本当ですよ? これが私の通常運転です」
「ははっ! で、ドレスの話になるといきなり特急列車になるんだ。いや、暴走列車かな?」
おかしそうに笑う高良に、美蘭も意外な気がして目が離せなくなる。
「新海さんこそ、コワモテイケメンとフレンドリー芸能人のどっちが通常なんですか?」
すると高良は、飲みかけのコーヒーを吹き出しそうになった。
「ゴホッ、なんだって?」
「ですから、夕べは仁王立ちして私のことを睨んでる顔面偏差値の高い大魔王みたいだったけど、今は笑顔でファンサービスする芸能人みたいだし。なんだか訳が分からなくなっちゃって」
「いや、俺の方が何倍も訳が分からない。一体なにを言っている?」
「大魔王から芸能人って、振り幅すごいですね。各駅停車が特急列車になるのとは訳が違いますよ」
「…………」
「えっ、今度はモアイ像? ワールドワイドですね」
はあ、と高良はため息をつく。
「頭痛がしてきた」
「頭痛? 大変、大丈夫ですか?」
「いいから早く食べろ。挙式の時間が迫ってる」
「そうですね、早く支度しなきゃ。あ、着替えどうしよう……」
本来なら今日は自宅から婚礼用のスーツを着て来るはずだったが、今は昨日の服のままだった。
下着などはホテルのショップかコンビニで購入出来るだろうが、さすがに礼服は販売していないだろう。
そう思っていると、高良が口を開いた。
「うちのスタッフの制服を貸し出す。その間に今着ている服はクリーニングさせるから」
「本当ですか? 助かります。ありがとうございます」
朝食を終えるとショップで下着とスキンケア用品を買い、ペントハウスに戻ってシャワーを浴びる。
その間に高良が頼んだスタッフスーツが届けられた。
上下黒のスーツに着替えると、スタッフがトルソーとドレスをブライダルサロンに運ぶ。
美蘭も荷物をまとめて、高良と一緒にサロンに向かった。
ずっと高良が自分の様子をうかがっているようで、居心地が悪かった。
クロワッサンを口にして、あまりの美味しさに驚いていると、クスッと高良が小さく笑う。
美蘭はちらりと視線を上げた。
目が合うと、高良はまたしてもふっと笑みを浮かべる。
美蘭はどうにも耐えられなくなった。
「あの、なにか?」
「いや。昨日の勇ましさが嘘のようにしおらしいから、不思議でね」
「そんな……。私、ドレスのこととなるとスイッチが入ってしまうんですが、本来は内気な性格なんです」
「へえ、それはどうだろう?」
「本当ですよ? これが私の通常運転です」
「ははっ! で、ドレスの話になるといきなり特急列車になるんだ。いや、暴走列車かな?」
おかしそうに笑う高良に、美蘭も意外な気がして目が離せなくなる。
「新海さんこそ、コワモテイケメンとフレンドリー芸能人のどっちが通常なんですか?」
すると高良は、飲みかけのコーヒーを吹き出しそうになった。
「ゴホッ、なんだって?」
「ですから、夕べは仁王立ちして私のことを睨んでる顔面偏差値の高い大魔王みたいだったけど、今は笑顔でファンサービスする芸能人みたいだし。なんだか訳が分からなくなっちゃって」
「いや、俺の方が何倍も訳が分からない。一体なにを言っている?」
「大魔王から芸能人って、振り幅すごいですね。各駅停車が特急列車になるのとは訳が違いますよ」
「…………」
「えっ、今度はモアイ像? ワールドワイドですね」
はあ、と高良はため息をつく。
「頭痛がしてきた」
「頭痛? 大変、大丈夫ですか?」
「いいから早く食べろ。挙式の時間が迫ってる」
「そうですね、早く支度しなきゃ。あ、着替えどうしよう……」
本来なら今日は自宅から婚礼用のスーツを着て来るはずだったが、今は昨日の服のままだった。
下着などはホテルのショップかコンビニで購入出来るだろうが、さすがに礼服は販売していないだろう。
そう思っていると、高良が口を開いた。
「うちのスタッフの制服を貸し出す。その間に今着ている服はクリーニングさせるから」
「本当ですか? 助かります。ありがとうございます」
朝食を終えるとショップで下着とスキンケア用品を買い、ペントハウスに戻ってシャワーを浴びる。
その間に高良が頼んだスタッフスーツが届けられた。
上下黒のスーツに着替えると、スタッフがトルソーとドレスをブライダルサロンに運ぶ。
美蘭も荷物をまとめて、高良と一緒にサロンに向かった。



