⚪︎一話 「 特別な生活 」

 ★一年一組教室

 ざわざわした教室内で聞こえる声。その中で一際大きく聞こえる声があった。
 茶色い髪をツインテールでくくり、誰しもが惚れてしまうととのった顔立ちに、吸い込まれてしまうような茶色い瞳をもつ美少女、宵宮孤羽(よみやこはね)が喋っている。( ヒロイン、主人公)

 クラスメイト 「 ねぇ、今日レポート提出日! 」
 孤羽     「 あはは、わかってるってー! 」

 柔らかい屈託のない顔で笑う孤羽。
 (この笑顔に何人かの男子が惚れている)

 孤羽『私は、学校では明るい子。 』
 孤羽『けど実際は_____________ 』

 一瞬暗い顔をする孤羽。
 その表情に気づくものはいない。みんな自分の話で盛り上がっている。
 一人だけ。メガネをかけ、真っ黒な髪をもつ男だけが、暗い顔をした孤羽を見つめていた。(ヒーロー)

★放課後

先生 「みんな気をつけて帰れよー」
クラスメイト 「 はーい 」

ホームルームがおわり、一気にザワザワする教室。
孤羽にはロングヘアとショートヘアの女の子の会話が耳に入った。

孤羽 『なんの話をしてるんだろ』
クラスメイト 「 ねぇ、今日カラオケ行かん? 」
クラスメイト 「 いいよ!いこっ 」
クラスメイト 「 やったぁ!   」

一気に顔が曇る孤羽。

孤羽 『 …私も行きたいなぁ、 』

★放課後 子供園にて

部屋着のような飾り気のない白いTシャツに、ハーフアップで髪をまとめた孤羽。
保育園のてんとうむし組の扉を静かに開いた。

孤羽 「 母の代わりに来ました、夢藺の姉の宵宮孤羽です。」

優実先生 「 あらぁ、いらっしゃい!いつも頑張ってるわね! むいくーん!お迎えですよー 」

優しそうな垂れ目の瞳に、一つ結びにした髪の優実先生。とびきりの笑顔で引き攣った笑顔の孤羽を出迎えた。

夢藺 「 わぁいねえちゃんきたぁー!  」

可愛い系男子である年少のむいは、とてもとと乗った顔をしている(ふわふわとした印象)

孤羽 「 いくよー! 優実先生、いつもありがとうございます、さようなら…! 」

ペコペコと頭を下げて夢藺と手を繋いでいる孤羽

優実先生 「 いえいえ〜またきなぁ! 」

↪︎ほっとした様子の孤羽、?が浮かんでいる夢藺。

二人で手を繋ぎ帰り道を歩く夢藺と孤羽。とある中学生を見かけた孤羽。

中学生 「 ははっカラオケ楽しかったねー! 」

中学生 「 ねーちょー楽しかった…!   」

孤羽  『 私は一回も行ったことないのになぁ 』

少し傷ついた歪んだ顔をした孤羽。

孤羽  「 ねぇ、夢藺!お姉ちゃんがあいす買ってあげる! 」

夢藺  「 やったぁ…! ぼくバニラアイスがいい!」

孤羽  「 いいよ〜!  」

そのころ、孤羽は笑った顔になっていた。

★宵宮宅

必要最低限しか揃っていない宵宮宅

孤羽の勉強スペース、椅子と机しかない。

孤羽 「 今日はカレーだよー  」

夢藺 「 やったぁ!僕カレーだーいすき!  」

にこにこ花を飛ばしている雰囲気をだしながらあいすをおいしそうに頬張る夢藺に頬が緩む孤羽。

カレーを作っている孤羽。

孤羽 『 私の父は行方不明。簡単に言えば私達は母子家庭である。  』

孤羽 『 母は仕事が忙しいので、だいたい私が夢藺を迎えに行っている。 』

孤羽 『 母に迷惑をかけたくないので私は遊んだことがない。』

孤羽  『 本当は私も遊びたい。まあ、そんなことを考えても何も変わらない。 』

孤羽 「 できたよー!  」

夢藺 「  わぁーい!  」

二人で食器を用意していく夢藺と孤羽楽しそうに食事をする。

孤羽  『 でも、私は夢藺がいればいっか  』

カレーを口につくほど大きくほうばる夢藺に笑う孤羽。

ふたりの笑顔が殺風景の部屋を明るく照らしていた。

カレーを食べ終え、皿を洗っている孤羽

夢藺 「 カレー美味しかった!!  」

孤羽 「  それはよかった…!! 」

戦隊ヒーローの絵本を見ている夢藺をみ、頬が緩む孤羽

ガラガラっと玄関が開く音。←びっくりする孤羽

孤羽母 「 ただいまぁ、ごめんね孤羽、、、 」

久しぶりの早めの母の帰還に喜び瞳に涙が滲む孤羽。
(すぐにTシャツの袖で拭き取る)
髪の毛は落ち着く焦げ茶色で、透き通った黄色っぽい瞳を持つ。※母の姿

孤羽  「 おかえり!大丈夫だよ〜、
       早く帰ってきてくれて嬉しいっ!  」

夢藺  「 わー!おかぁしゃん!おかえりっ! 」

にこっとはにかむ夢藺、ほっこりする孤羽、孤羽母

孤羽母  「 夢藺〜たーだいまっ!  」

孤羽   『  お母さん、今日頑張って残業終わらせてくれたんだなぁ… 』 ※効果音つけるなら じーん

孤羽   「 カレー食べる?  」

孤羽母  「 食べるー!孤羽ありがとう… 」

"お母さん感激だよ"と泣きながらカレーを頬張る母

↪︎ あはは… と少し呆れる孤羽

3人で輝く笑みを浮かべる

↪︎ 美味しいよぉ、と泣きながら目を輝かせる母、

でしょ!とドヤ顔でいう夢藺。

そんな二人を見て一瞬、黒髪で無口で優しい父を思い出し泣きそうになりながら笑う孤羽。

孤羽 『 こんな日が一生続けばいいのに。  』

孤羽 『 お父さん…今どこにいるの?   』