それから、金髪のあの人と、マンションですれ違うことはなかった。仮にも、佑月くんに雰囲気似た人。もう一目見たいなあ。遭遇しないかなあと、無意識に探している自分がいる。
 夜7時。仕事から帰ってきて、スマホをいじっていると、ピンポーンってインターホンが鳴った。
 「はい」
 ってインターホンに出るけど、応答がない。
 あれ?私なんか頼んでたっけ?と思いながら、ドアスコープを覗くけど誰もいない。
 「はい?」
 ドア越しに、呼びかけてみる。
 「あれ?誰?」
 ドアの外から男の人の声が聞こえる。はあ?こっちが聞きたい。
 いたずらか……、こわ…。と思いながらドアを離れようとすると、
「あれ?なんで?うわーやば、鍵どうしたっけ俺…」って声がする。
 この声、どこかで……。反射的に引き返し、ドアを開ける。開けると、そこに立っていたのは、今、一番会いたい人。
 「え……?」
 佑月くん。
 「佑月くん…………?」
 「ん?」
 その人が、顔をあげる。
 「な、んで、こんなところに……。」