【短編】花が散れば花が咲きにけり

つい声がもれた。彼女の艶のある手と僕の手が触れたから。
「ドキドキしちゃった」
千鶴ちゃんがドキドキするなんて。それだけで逆に僕がドキドキする。
図書館で。千鶴ちゃんはサッと傘を折りたたんでバッグに入れた。さすが、女子だな。
「こんにちは」
さっきはしてなかったのに千鶴ちゃんはカウンターの人に向かって大きな声で挨拶をする。なんか千鶴ちゃんらしい。
「午後は青春恋愛小説系をお勧めして欲しいの。できたらアイドルが出てくるのがいいな」