ぜんぶ、ちょうだい。




はあ、と先輩のため息が聞こえる。
先輩、私といるとき絶対一回はため息つくんだよね…。

しゅんとしていると、先輩はそんな私にイラついたのか、グイっと手首を引っ張って歩き出す。



「えっ…どこ行くんですかっ…?」



駅もバス停も反対側ですがっ!?

それよりも、手! 先輩の手が、私の手首にっ…!



「…っ、」



掴まれた手首が熱い。 ついでに顔も。

心臓が、ドクドクしてる。これ、絶対聞こえてる。

先輩は急に止まって、着いた場所は――公園のベンチ。

夕暮れの光が、ふたりの影を長く伸ばしてる。

先輩が座るので、私もなんとなく隣に座る。



「で?なんかあった? 隣で変な顔されんの困るんだけど」

「うっ…」



先輩の言葉は、いつも通りちょっと冷たい。



「あ。待ってて。ジュース飲める?」

「え?あっ、はい!」



先輩はそう言って、立ち上がった。

私は、ベンチにうなだれる。

はぁ~…。もう、ほんと何してんだろう。

モヤモヤしてる原因は、もう分かってる。どう考えても、水元先輩しかいないし…。