ぜんぶ、ちょうだい。




この時間は、駅から歩いてくる生徒たちが多い。

でも、泉先輩は目立つから、来たらすぐに分かる。



「…あっ、先輩だ!」



ほらね。 眠そうにあくびしてる先輩が歩いてくる。


あくび、かわいいっ…! なんであんなに無防備なのに、かっこいいの!?


先輩が前を向く。


すると――バチッと、視線が合った。


朝一から、目が合ったっ…!



「先輩!おはようございますっ」



声、ちゃんと出せた。


今日は、返してくれるかな? 昨日、“堂々と来たら?”って言ってくれたし。



……と思ったけれど。



いつも通り一瞬だけ私を見下ろして、すぐに下駄箱のロッカーへ視線を移して、靴を履き替える。



あ…れ? 先輩?


返事、ないんですけど…?