ぜんぶ、ちょうだい。




「あ、の…先輩?」



昨日のことって……夢だったのかな?
だって、あんなに優しくされて、名前まで呼ばれて。


……あ。思い出した。

“期待はしないで”って、言われたんだった。

ずるい、先輩。
あんなふうに言っておいて、今日の朝はまた無視ですか?


先輩は、靴をロッカーに入れて、バタン!と勢いよく閉めた。

あぁ、もう行っちゃう……。



「先輩…吉川です。吉川小鞠、ですよ…?」



期待はしないでって言われたけどさぁ。

挨拶も無視するなんて、あんまりですよ。

……って、思ってたら。

先輩は、私を見下ろしながら、



「おはよ」

「…え」



たったの3文字。

それだけを言って、 スタスタと歩いて行ってしまった。