ぜんぶ、ちょうだい。




朝、昇降口。
隣には、ひまちゃん。

これ、毎朝のルーティン。
でも今日は、ちょっと違う。

昨日、泉先輩に言われた。「堂々と会いに来たら?」って。

だから、今日から堂々とするのっ!

……と言っても、 胸はドキドキしてるし、手はちょっと汗ばんでるし、顔はたぶん赤い。

昨日のことを思い出すだけで、 心臓がバクバクする。

泉先輩、早く来ないかな…。

今日は、挨拶返してくれるかな? 目、合わせてくれるかな? 名前、呼んでくれたり――しないかな?



「こまちゃん、ほんとに昨日先輩にお許しもらったの?」



ひまちゃんが、こそっと耳元で囁いてくる。

私は、どや顔。



「ほんとだよっ。好きでいてもいいよとも言われたんだから!」

「勝手にしてじゃなかったっけ?なんかいいように変換されてない?」



うっ……鋭い。でも、いいの。
“勝手にして”って言われたって、それは“否定されなかった”ってことだから!


そんなことよりもね、ひまちゃん。

もうすぐ、泉先輩が登校してくる時間なんだよ。