先輩と付き合えたら…なんて、夢のまた夢。
そんなことを考えるだけで、胸がくすぐったくなる。
現実は、毎朝の挨拶すら返ってこない。
それでも私は、今日も先輩の背中を目で追ってしまう。
席について、窓の外をぼんやり眺めながら、
ふと、あの日のことを思い出す──────
先輩に初めて出会った、去年の夏。
まだ、名前も学年も知らなかった頃。
あの日、学校に向かう電車は、いつもより混んでいた。
発車ギリギリで駆け込んだ私は、息を整える暇もなく…ギリギリ届くつり革に手を伸ばして、揺られていた。
背伸びして、腕を伸ばして、必死にバランスを取っていた。
汗や香水、いろんな匂いが混じった電車の中。
朝の満員は、毎日が憂鬱で、本当に最悪だった。
早く着かないかなって、窓の外に目をやりながら、ふと、左の方へ視線を向けた。
そこにいたのは、私と同じようにつり革につかまっている女の子。
顔色が悪くて、今にも倒れそうなほどぐったりしていた。
人混みに押されながら、必死に立っているその姿が、目に焼きついた。


