ぜんぶ、ちょうだい。




泉馨(いずみかおる)、高校三年生。

無口、無表情、無感情。
その3コンボを完璧に持ち合わせた、とんでもなくクールな男の子。

女子とはほぼ喋らないらしい。

でも、“とてつもなく”顔が良い。 俗に言う、イケメン。
いや、イケメンって言葉じゃ足りないくらい。顔面偏差値、たぶん校舎の屋上くらい高い。

そんな彼に、虜になる女の子は後を絶たない。
廊下で見かけただけで、キャーってなる子もいるし…同じクラスの子なんて、毎日髪型変えてるらしい。

もちろん、私もその中の一人。高嶺の花に憧れを抱く、その辺の雑草。

踏まれても、見向きもされなくても、勝手に咲いてるだけの存在。



「所詮、私は雑草だしな~…」



そう呟いて、とぼとぼ歩く。

靴の音が、ちょっとだけ重く響く。

泉先輩の教室は、今日も遠い。

でも、雑草は今日も、太陽を目指して伸びる。
届かなくても、見てもらえなくても。