先輩は無反応だった。
私の声、届いてないのかな。それとも、聞こえてるけど、無視されてるのかな。
旧校舎に着いて、泉先輩は無言でホールの隅に段ボールを置いた。
「ここでいい?」
「…あ、はい」
先生、置き場所なんて言ってなかったし。どこでもいいよね。
それよりも――
はぁ…。
窓越しじゃない、昨日ぶりの“生”の泉先輩。
やっぱり、かっこいい。静かで、落ち着いてて、でもどこか遠くて。
好き。
先輩は、私が朝に挨拶するときと同じ、あの冷めた目でこっちを見てくる。
……朝。
あっ。朝。
「先輩、今日の朝…」
言いかけて、言葉が喉につかえる。
私のこと、避けてたんですか?
そう聞くには、勇気がいる。


