「えっと、あの…中庭にいる先輩のこと見つけて、見てたらぶつかって…」
結局、言う羽目になった。
言い訳みたいな言葉が口から出て、泉先輩の背中に向かって届くかどうかもわからない。
先輩は、段ボールを持ったまま歩き続ける。止まる気配はない。
もしかして、運んでくれるのかな。
「あ、の先輩…」
声をかけると、泉先輩は振り返らずに言った。
「昨日で、てっきり諦めるかと思ったけど」
淡々とした声。感情が読み取れない。
「えっと…諦めようとは思ったんですけど」
思いました。ほんとに。一瞬だけ。
でも、今更そんなことできない。
好きって、そんな簡単に終われるものじゃない。
第一――
「先輩はまだ、私のことこれっぽっちも知らないじゃないですか…」
言葉が、少し震えた。でも、ちゃんと届いてほしかった。
私のことを知らないまま、嫌われるのは、あまりにも悔しい。
知ってほしい。私がどんなふうに先輩を見てるか。どんなふうに、好きになったのか。
そのうえで、ちゃんと振ってほしい。
そうじゃないと、 あきらめの悪い私は、泉先輩のことを忘れることなんて到底無理だ。


