ぜんぶ、ちょうだい。




昨日も、泉先輩は笑っていなかった。
でも、今日の顔は……もっと怖い。

眉が少し寄っていて、口元が硬い。私、もっと嫌われたのかな。



「この段ボールは俺が持ってくから、お前らどっか行けよ」

「お、おう…」



さっきの二人は、泉先輩の一言であっさり引いて、パタパタと走って行った。

……わあ。2人きり。
嬉しい。はずなのに。顔が見れない。

それよりも、ずっと段ボール持たせてる。泉先輩に。



「泉先輩っ、あの…段ボール!」

「……あぁ」



もらおうと手を伸ばした瞬間、ひょいっと避けられた。

泉先輩は、段ボールを持ったまま歩き出す。



「さっきの2人、知り合いだった?」



声は、いつも通り。
でも、少しだけ低く聞こえる。

私は慌ててその後を追う。
歩幅が違うから、少しだけ小走りになる。