ぜんぶ、ちょうだい。




昼休み。
ひまちゃんに事情を説明して、急ぎでお弁当をかき込んだ。
「ほんとにもう…」って呆れられたけど、仕方ない。私が悪い。


職員室に寄って、先生に頼まれた段ボールを受け取る。

それを抱えて、旧校舎を目指す。
旧校舎へ行くには、一旦外に出ないといけなくて、靴も履き替えなきゃいけない。

それが、地味に面倒。



「はぁ…」



ため息が漏れる。

でも、私が悪いんだよね。
泉先輩に見惚れて、授業そっちのけだったんだから。

靴を履き替えて、段ボールを抱えたまま、校舎を出る。
昼の光が眩しい。


段ボールを抱えながら旧校舎への道を歩いていると、中庭の方からにぎやかな声が聞こえた。



「かお、それ一口ちょーだい」

「お前、いつも取ってくじゃん。やめろって」



“かお” 泉先輩のことだ。

思わず、視線を中庭へ向ける。
男の子が6人、輪になってご飯を食べている。

その端の方に、泉先輩。

……いた。

誰かにご飯を取られそうになって、ちょっとだけ眉をひそめてる。


……というか、泉先輩でも“お前”って言うんだ。

普通に男の子。かわいいっ…!