ぜんぶ、ちょうだい。




朝、会えなかった。
泉先輩の姿が見えないだけで、なんか一日が始まらない感じ。

授業中、ノートも開かずにうなだれてたら、前の席の清水が振り返ってきた。



「なぁ」



……無視。
今、私はナイーブなの。



「なぁ、吉川って」

「……もーっ!話しかけないでっ」



声、ちょっと大きかったかも。
でも仕方ない。今は心がガラスなの。



「なんでそんなに怒ってんだよ」

「……はぁ、なんなの?」



仕方なく、体を起こして清水の顔を見る。

すると、清水がニヤッと笑って言った。



「お前、いいのか?そんな態度で。折角、外に泉先輩いること教えてやろうと思ったのによ」



……え?

え!?

外に泉先輩!?

バッと左に振り向く。
窓の外、グラウンド。

青いラインの入った体操服姿の生徒たちが、わちゃわちゃしてる。

そのすみっこ。男子の塊。

いた。泉先輩。

髪がちょっと乱れてるのに、なんであんなに爽やかなんですか。
体操服なのに、なんであんなに王子感あるんですか。