【完】ぜんぶ、ちょうだい。




「……んっ、やっ……あ、」



唇が離れないまま、息が混ざる感覚に、思ってもみなかった甘い声が漏れてしまう。

自分のものじゃないみたいで、頭の奥がチカチカする。



「かわいい。もっと、その声聞かせて」



そんなふうに言われると、恥ずかしくてしょうがないのに。


余裕のない先輩の表情を見つけるたびに、どうしようもなく高揚してしまって、私も私で、そんな先輩をずっと見ていたいと思ってしまう。



慣れた手つきで、ぱちっと外される感覚に、また一瞬だけ、あの日みたいに経験の差を思い知らされる。

でも、そんなことを考える余裕も、すぐになくなって。

キスに、先輩に、ただ溺れていく。



「……んっ、せんぱ……もう……」



やめてほしくないけど、やめたい。

恥ずかしくて、いやだけど、でもこの先も先輩としたい。

だから、せめて、息をさせて。



「……まだ、足りない」

「なっ……」



背中にあったはずの先輩の手が、ゆっくり前のほうへ回ってきて、嫌でも声が漏れてしまう。