怖がらせてごめん、て。
違う、そうじゃない。
怖くなんてない。
違うよ、の意味をこめて、フルフルと首を振るけれど、先輩は少し申し訳なさそうな顔をしている。
違うんです。
ほんとは、もっとしてほしいんです。
離れたくないんですって、ちゃんと言わないといけないのに、恥ずかしくて、こんな気持ちは知られたくなくて、幻滅されたくなくて。
でも、勇気を出して、俯きながらぎゅっと目をつむって言う。
「先輩……キス、してください……」
すると、先輩は少し間を置いて、顔を近づけながら、そっと両手を絡めてくる。
「…小鞠は、それだけで足りる?」
「…え?」
両手を絡められて顔をあげれば、少し辛そうな表情で、ずっと我慢してる、と先輩が呟いた。
「付き合って、1年以上経つけど……小鞠は、俺のこと、欲しくない?」
もっと欲しがってよ、と先輩は小さく呟きながら、手の甲にそっとキスを落とす。
あの、色気、が。
私は、最初から、ずっと。
先輩の全部が、ほしかった。



