【完】ぜんぶ、ちょうだい。




ぎゅっと目を瞑ると、思った通り、ちゅっ、と軽く唇が触れる。



「…っ、」



これで終わるかと思ったのに、腰に回された先輩の手がそっと体を引き寄せる。
気づけば、そのまま後ろへ倒れてしまっていた。



「せ、せんぱいっ……」



ちゅっ、りゅっ、と先輩は止まることを知らなくて、体が熱くなるのを感じる。

全然嫌じゃないし、むしろ求められるのが嬉しくて、私のほうが、ほんとはもっと……もっとって、いつも思ってる。
私だって、心の奥ではいつもそう願っている。


でも、こんな自分を知られたくなくて、一緒にいる時間が長くなればなるほど、離れたくなくて、くっついていたくて、それでも、この気持ちを悟られたくなくて。


好きで、苦しくて、どうしようもなくて、胸の前でぎゅっと拳を握る。

それを見た先輩は、そっと体を少し引いて、



「…ごめん。がっつきすぎた」



そう言いながら、私を優しく起き上がらせた。