【完】ぜんぶ、ちょうだい。




「ひまちゃんと買い物してたら、たまたま清水と会ったんです」



歩きながら、今日のことを話す。



「そのまま一緒にファミレスでごはん食べて。もう卒業だねー、って話になって」

「へぇ」

「先輩たちの卒業から、もう一年経つのかーって。なんか懐かしくて」

「あの頃の小鞠、大変だった」



そう言って、思い出したみたいにクスクス笑う。



「だって、先輩がいないの、寂しすぎて……ほんとに、死にそうだったんですよっ」



半分は冗談みたいに言ったつもりだったけど、口にした瞬間、あの頃の気持ちが一気によみがえる。


先輩が卒業してから、数か月。
なかなか立ち直れなくて、毎日のように夜は電話をしていた。時間が合う日は、わざわざ同じ路線の電車に乗って、顔を見るだけで安心したりして。


今思えば、かなり重たい。
メンタル的にも、相当大変だったと思う。


それでも先輩は、史上最高に面倒くさかったであろう私のことを、見捨てなかった。今日だって、課題で忙しいって言っていたのに、こうして会う時間を作ってくれている。


……好きだな、って思う。