【完】ぜんぶ、ちょうだい。




「俺らも、もう卒業だなー」



何気なく出た清水の一言に、時間の重さを感じてしまう。



「ほんと。先輩たちの卒業式、ついこの間って感じだったのに、もう一年経つなんて早いよねー」



そう言いながら、ひまちゃんが私を見る。



「こまちゃん、このあと泉先輩と会うんだっけ?」



コク、と小さく頷いて、りんごジュースを一口飲む。

今日は土曜日。
ひまちゃんとお買い物デートをしていたら、たまたま清水にばったり会って、そのまま3人でファミレスに入った。こういう偶然も、もうすぐなくなるのかな、なんて考えてしまう。



「ほんと、早いよねー。もう一か月後には大学生とか、信じられない」

「お前ら二人とも、大学は県内だっけ?」

「そう。清水は県外だよね?」

「うん。でも、そんな遠くないし、頻繁に帰省するつもりだけどな」



そっか、と思いながら、グラスの氷が溶ける音を聞く。
みんな、少しずつ違う場所に向かっていく。