「それに、せんぱいっ……ボタンもネクタイも、ないじゃないですかぁ~っ!!!」
「逃げれなかったんだよ」
……いやいや。
そこはどうにかしてくださいよっ。
「小鞠には本体あるから、いいじゃん」
「っ! そ、そうだけど~っ……」
泣きじゃくる私を、先輩は、はは、って笑いながら、ぎゅっと抱きしめる。
ずるい。ずるすぎる。
「好きだよ」
また、耳元で囁かれて。
コツン、と額が合わさる。
泣いてる私をよそに、クスクス笑いながらキスをしてくる先輩は、意地悪で。
でも、どうしようもなくかっこよくて。
「…先輩。卒業、おめでとうございます」
「はは、ありがとう」
大好きで。
私の、王子様だ。
ずっと手の届かなかった先輩は、今。
――ぜんぶ。
ぜんぶ、私の。
そう思ったら、また少しだけ、泣きそうになったけど。
今度は、ちゃんと笑えた気がした。



