一度、手に入ってしまったら。
もっと、もっとって、全部欲しくなってしまう。
一緒にいる時間も、先輩の思い出も、未来も。
こればっかりは、どうしようもないのに。
それでも、今は。
先輩の腕の中で、少しだけ、わがままな気持ちを抱えたまま。
この温もりを、離したくなかった。
「先輩の全部が、私でできてたらいいのに」
思わずこぼれた、わがままな本音。
自分でも子どもみたいだって思うのに、止められなかった。
「よく分からないけど、これからの全部はあげれる」
先輩は、さらっとそう言う。
深く考えてるのか、考えてないのか分からないくらい自然に。
でも、その一言で。
ふわっと、心が軽くなっていくのが分かった。
過去の全部は無理でも。
これから先の時間を、一緒に生きるって言ってくれてるみたいで。



