【完】ぜんぶ、ちょうだい。




「……小鞠が卒業したら、同棲しよう」



その言葉が、胸の奥にすとんと落ちた。
不安でいっぱいだった気持ちに、そっと蓋をしてくれるみたいに。


そう言って、先輩は私にキスを落とす。
唇じゃなくて、額でもなくて、髪に近い、やさしいところ。



「……っ」

「涙、止まった?」



先輩の顔を見て、こくんと頷く。
ほんとだ。さっきまで止まらなかったのに。


……すき。
大好き。



「小鞠が落ち着くまで、くっつく?」



両手を広げて、そう言われる。



「……ん」



返事をするより先に、体が動いていた。
そのまま、先輩の胸に飛び込む。


あったかくて、落ち着く。
この場所が、なくなってしまうわけじゃないって、やっと思えた。


なんで、同級生じゃないのって。
何度も、何度も考えた。


でも、もし同級生だったら。
そもそも、出会ってなかったかもしれない。


先輩は、私のことを好きになってくれなかったかもしれない。

そう思うと、この関係が、奇跡みたいに思えてくる。